「Hi」
振り返ると彼が居た、其の顔には緊張を見せないようにと笑顔を見せていた。
私は「Hi!」・・・
沈黙が1秒だったか、2秒だったか、私の頭も心も緊張していた。
「今お仕事終わりですか?」
と、かたことの日本語で彼は話し始めた。
「ええ」・・・
「GOOD・・・GOOD・・・・」
ぎこちない2人の空気は周囲の人にも伝わる程に、私達は緊張していた。
「貴方は?」
「・・・・・・・」
目と目をただ見つめ合うだけの時間は、私達が語らずとも全てを理解するには十分な時間、それは、5秒程だったか。。。。
私は心の中で、
「早く帰りたい」
「恐い」
「そう、早く今すぐ帰ろう」
其の繰り返す自分の心の言葉に固まっていた。
「食事に行く約束です?」
「そうね・その様な約束したわね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「でも、、、私帰りたい気持ちがある」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「僕は何ヶ月も貴方を待った、この本屋で、会いたかった」
其の言葉を聞いた瞬間に、私は目の前が回り始めた。クルクル
返事をすることも忘れ、考える事も忘れ、只頭の中は真っ白な状態となっていた私に、彼は私の手を取り歩き始めた。
この手・・・・・
この手・・・・・
誰かが私の手を握り締めて、私の前を歩き、其の手は、
"僕達ははじまるよ"
そう語りかけていた。
食事を共にする程親しくない、
彼の何を知っている?
私は何を感じている?
気がつくと、彼の好きな日本料亭に着いた。
「ごめんなさい、今日私余り所持金がないの」
「??????」
「銀行に行くわね」
「NO!何を言う?おいで」
彼は何の仕事をしている人だろうか?
身なりはきちんとしている
清潔
知性はありそう
そうこうしている内に、私達は料亭の個室で
女将さんの挨拶を受けていた、そして、料理が運ばれてくるまでの暫くの時間、和室から見える庭園を見ながら沈黙していた。。。。
張り詰める緊張を破ったのは誰でもない、彼だった。
「Hi」
「Hi」
「僕はTomと申します、貴方のお名前は何ですか?」
「私は凛香、38歳、子供が1人いる
離婚経験者」(笑)
「僕もおなじです」(笑)
「それ以上は言わなくていいですよ」
やはり・・・・・・・
彼も大きな傷を負っている・・・・・・